鉄道レールの溶接余盛(よもり)除去装置の開発

更新日: 2022年5月9日
 

研究テーマ名:鉄道レールの溶接余盛除去装置の開発-第二報 粗加工機と仕上げ加工機の開発-

 レール削正時の負荷を軽減する溶接余盛除去装置の実現を目指し,「粗加工機」と「仕上げ加工機」の開発を行った。まずフライスカッターを用いてレール断面のほぼ全周を削正可能な粗加工機を開発した。ただし装置の重量と操作性に課題を残した。次にレール頭頂面と頭側面に特化した仕上げ加工機を開発した。仕上げ加工機は自動スライド機構を装備したことで,非熟練者でも少ない操作で精度の高い加工が可能となる装置となり,特許出願を行った。またレールの仕上げ面における残留応力は概ね400MPa以下であり,深さ方向における特徴的な変化傾向は認められず,回折X線の半価幅は表層程大きくなる傾向が見られた。最後に,開発装置が作業環境の寒暖差や降水等に対応する耐候性を有することを確認した。

 

研究テーマ名:鉄道レールの溶接余盛除去装置の開発-第一報 レールの削正用工具と削正条件の実験的検討-

 新幹線や都市部の在来線では,騒音・振動の低減および列車の乗り心地向上の観点から,レールの継ぎ目を溶接により排除したロングレール軌道が採用されている。レールの溶接工程には,溶接部の余盛を除去し段差を平滑化する削正作業が付随する。この削正作業は一般砥石を搭載したハンドグラインダを用いて人力で行われており,本作業の効率化が課題となっている。そこで本作業の効率化を実現するため,一般砥石に代わる候補工具としてカップ型CBN電着砥石,縦型フライスカッターを設定し,レール削正中の加工力や,削正面における焼けの発生状況,粗さ,残留応力等を指標として各工具の比較検討を行った。検討の結果,フライスカッターがレール削正用工具として高い適正を有することが明らかとなった。