宮城県工業試験場について

更新日: 2023年4月28日
 

 宮城県産業技術総合センターの前身である宮城県工業技術センターは昭和43年12月設立で、私が入庁した平成3年頃には日本で2番目に新しくできた工業試験場だと言われており、現在は50周年を過ぎたところです。

 一方で、お隣の岩手県工業技術センターは明治6年創立で日本最古の工業試験場として約150年の歴史を持ち、また、山形県工業技術センターも大正7年設立認可と100年以上の歴史があります。

 実は、宮城県でも大正時代に工業試験場を作ったが昭和20年7月の仙台空襲で焼失したらしいことは県議会史等から分かっていましたが詳細については不明でした。

 最近になって、宮城県工業試験場要覧(出版年1933)が京都府立京都学・歴彩館に所蔵されていることを国立国会図書館サーチで知り、文献複写を申し込んで内容を見ることができました。旧漢字、文語体で難解なのですが、その沿革概要の記載から、

  • 大正11 年 8 月       工業振興調査会は全会一致で、工業試験場の設立を知事に建議
  • 大正13 年 2 月       商品陳列所を改築拡張し工業試験場を併置する計画で農商務大臣より設立認可
  • 大正13 年 4 月      職員を任命して勧業課で設立準備事務を行い,工事をすすめる
  • 大正13 年 12 月       場舎竣成(県庁舎敷地内)し、諸機械の据付けや内部設備の充実に努める
  • 大正14 年 8 月       設備完成し、試験研究、委託作業、伝習生・研究生の養成を開始。庶務部、染色部、機織部、漆工部を設置
  • 昭和 6 年 9 月       醸造部を増置し、試験室の竣成とともに醸造に関する試験研究を開始

などの歴史があったことが分かりました。また、建物、主要機器、場員の役職、各種規定の記載内容から当時の状況を知ることができました。特に、要覧というと、所在地や電話番号、ホームページなどの連絡先が記載されているのが現代では一般的だと思いますが、当時は一切なかったことに時代の変化を感じます。

 以上、「大正時代に宮城県にも工業試験場があった」ということをお伝えできれば幸いです。

令和5年4月

 企画事業推進部 総合企画調整担当 和嶋直