次世代強化繊維の高度利用技術の開発

更新日: 2022年5月9日
 

令和元年度 研究報告

 CNF添加による機械的特性のさらなる向上を目的に,PPへの疎水変性CNFの添加効果の定量的評価,繊維長の異なるTEMPO酸化CNFの水分散液を用いたレオロジー評価,CNFのウレタン材料への添加検討を行った。

 PPへの疎水変性CNF添加によりPPの降伏応力が向上し,CNF添加1wt%までであれば,PP単体の衝撃強度をほぼ維持したまま,曲げ弾性率が向上した。

 TEMPO酸化CNFの長さ違い水分散液(1wt%)を用いたレオロジー評価においては,ある一定以上のひずみまでは弾性的な振る舞いをし,さらにひずみを与えると,弾性を示す構造が壊れるものと推測された。また,短いものはひずみ量にかかわらず液状の振る舞いを示した。

 ウレタン材料へのCNFの添加は,引張強度および切り欠きありアングル形試験片を用いた引裂強度を向上させ,その割合はTEMPO酸化CNFより機械解繊タイプのCNFの方が大きかった。

 

平成30年度 研究報告

 市販のTEMPO酸化CNFを用いてレオメーターによる粘度及び粘弾性評価を行った。TEMPO酸化CNFは1.0,0.5,0.25wt%希釈の濃度範囲において強いせん断速度依存性を示した。

 動的粘弾性のひずみ依存性計測の結果,TEMPO酸化CNFは2.0,1.5,1.0,0.25wt%希釈の濃度範囲において,ひずみの値が1になる付近で損失弾性率が貯蔵弾性率を上回る結果となった。ある一定以上のひずみに達すると,弾性を示す構造が壊れるものと推測される。 0.5,1.0wt%希釈品には傾きが大きく変化する点,すなわち降伏点が観測された。

 応力増加試験の結果,0から100Paの応力範囲においては0.5wt%と1.0wt%で降伏点が観測されたが,1.5,2.0wt%希釈品では,降伏点は見えなかった。