小型滅菌装置の高機能化と低コスト化に関する研究開発

更新日: 2022年3月17日
 

 ヘルスケア関連の感染が病院環境における深刻なリスクとなっている。そして,従来用いられてきた液体洗剤では,細菌除去が不十分,あるいは複雑形状物の洗浄が困難との報告がされている。他方,県内では,病院従事者を対象としたニーズ調査から,災害時・救急医療環境での使用をも想定し,小型・可搬で,短時間に感染予防措置を出来る装置等が求められていることが分かった。

 小型・可搬化を可能にする方法として,低温大気圧プラズマやプラズマクラスターイオンがあり得る。前者は,小型・可搬化,簡略化の妨げとなる要因を内包している一方,後者のプラズマクラスターイオンは,寒天平板培地上の細菌コロニー形成に対する一定の抑制効果が報告されているほか,大気を利用する方式のため,特定のガス供給ユーティリティを要しない利点を有する。本研究では,小型・可搬で簡便な装置の低コスト製作の検証を目的として,既存のプラズマクラスターイオン装置を用い,簡易自動送風機能を付属させたプロトタイプの製作を試み,プラズマクラスターイオン照射が寒天平板培地上の大腸菌コロニー形成に与える影響を調べた。プラズマクラスター送風を寒天平板培地上の大腸菌に120秒および1200秒行ったサンプルを,送風をしなかったサンプルとともに,37℃のインキュベーターで24時間培養したところ,その大腸菌コロニーの形成数において,有意な差は認められなかった。