2026年7月22日(水)、東北大学 金属材料研究所2号館 1階 講堂において「令和8年度 第1回宮城AM研究会」を開催いたしました。
今年度第1回目の研究会は、普段の研究会とは趣向を変えてパネルディスカッション形式で開催しました。パネラーにはAMの最前線で活躍されている方々をお迎えし、会場の会員の皆様も巻き込みながら活発な議論が交わされました。
講演1「歴史から学ぶAM進化論(EOS編)」【講師】EOS Electro Optical Systems Japan(株) Regional Manager 橋爪 康晃 氏
パネルディスカッション(前半)に先立ち、EOS Electro Optical Systems Japan(株) Regional Manager 橋爪 康晃 氏より、「AMの進化」をテーマにご講演いただきました。
講演では、AMが試作技術から生産技術へとどのように進化してきたかが紹介されました。金属AMは現在普及期にあり、宇宙・航空・医療・スマートファクトリーといった分野において、サプライチェーンを変革する技術として組み込まれつつあります。また、今後は「1部品当たりのコスト」が主要なテーマの一つとなることも示されました。

パネルディスカッション(前半)「お客様が求める再現性を目指した金属AMの品質保証 ~ISO9001×トレーサビリティ体制~」
登壇者: 埼玉車体(株) 阿久津 光雄 氏(話題提供)、東北大学 千葉 晶彦 特任教授、EOS 橋爪 康晃 氏、愛知産業(株) 日比 裕基 氏
まず、埼玉車体株式会社 阿久津 光雄 氏より、自社工場に金属AMを実装した経験に基づく話題提供がなされました。その中で、ISO9001に沿った品質管理やトレーサビリティ体制のリアルな現状について深掘りされました。その後、各登壇者を交えて、各ステップにおけるデータ蓄積による品質保証や、造形しながら非破壊で保証していく3Dプリンタ特有の利点が議論されたほか、懸念事項を一つひとつ解決する「つぶし込み」が今後の課題であることも指摘されました。


講演2「宇宙・航空分野で注目!大型AM技術革新」【講師】愛知産業株式会社 日比 裕基 氏
後半のパネルディスカッションの前には、愛知産業株式会社 先進機能部 先進システム課 課長 日比 裕基 氏より、アークとワイヤを用いたWAAM(ワイヤ・アーク積層造形)方式の進化について紹介されました。WAAMはリードタイム短縮や材料利用率の向上といったメリットがあり、高コストなチタン材の使用が多い宇宙・航空分野と非常に相性が良いと説明されました。一方で、WAAMは単なる「溶接の延長」ではなく専用のレシピ開発が不可欠であり、今後は品質保証の確立とユーザーとの協業による社会実装が鍵になるとのことです。

パネルディスカッション(後半)「金属AMの事業化と次世代戦略」
登壇者: 埼玉車体(株) 阿久津 光雄 氏、東北大学 千葉 晶彦 特任教授、EOS 橋爪 康晃 氏、愛知産業(株) 日比 裕基 氏
後半のパネルディスカッションでは、前半や各講演の内容を踏まえ、日本の製造業におけるAMのビジネス展開と次世代戦略について考察されました。
一般には航空宇宙分野での活用が注目されていますが、日本においては基幹産業の一つである自動車、特に量産車への適用が必要不可欠であるとの意見が出ました。また、あまり話題に上らないものの、防衛分野での活用も避けては通れない課題であるとの見解も示されました。その他、市場規模は大きくないとされつつも医療・歯科技工などの分野での活用も示唆されました。


地域のビジネスに目を向けた意見も挙がり、中小企業が抱える大企業への参入障壁の打開策として、各都道府県に設置されている公設試(公設試験研究機関)による“つなぎ役”の必要性も指摘されました。
AMにはサプライチェーンそのものを変革する力があり、より俯瞰的な視点で取り組んでいく必要があります。「誰かがやる」のを待つのではなく、産学官全体が連携して取り組むべき課題であり、それだけの価値を持つ技術であることを改めて実感させるディスカッションとなりました。
ミニブース展示/まとめ
講演・パネルディスカッション後は、恒例のミニブース展示を開催し、各会員によるAM関連技術の紹介が行われました。各ブースでは展示品を挟んでの解説や自社技術のアピールなど、終始活発な交流で盛り上がりました。ご出展いただいた皆様、今回もありがとうございました。

次回の宮城AM研究会は11月~12月頃を予定(仮テーマ:大型造形)しています。会員登録がまだの方は、ぜひこちらから会員登録を行い、情報をチェックして下さい。
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