革新技術で未来を創る特殊鋼メーカー 〜東北特殊鋼株式会社〜

更新日: 2021年9月3日
 

東北特殊鋼株式会社は,創業80年を超える,宮城に根差した高品位の特殊鋼メーカーです。その製品は様々な分野,業種に展開されており,その中でも,自動車のエンジンバルブの材料となる耐熱鋼や,インジェクタの材料となる電磁ステンレス鋼は,国内シェアNo.1を誇ります。

  今回は,同社が宮城県産業技術総合センター(以下「センター」)と共同開発を行ったIoTセンサーシステムについて伺いました。

IoTセンサーシステムの開発

  東北特殊鋼株式会社は,特殊鋼材のメーカーとして,産学連携により様々な材料開発を行っており,現在注力しているのは,2013年に同社が弘前大学と東北大学で共同開発した磁歪材料です。同材料は振動発電素子や振動アクチュエータデバイスへの応用が期待できます。

  同社は上記の磁歪材料による振動発電デバイスを社内で開発し,その応用として製造設備の動力であるモーターの故障診断への利用を検討していました。そこで技術的な課題として挙がってきたのが振動発電で得られる微小で非定常な電力の蓄電技術とその効率的な利用方法でした。

センター利用の経緯

共同開発したIoTセンサーシステム
東北特殊鋼株式会社が開発した 磁歪クラッド鋼とアクチュエータ

  企業訪問をきっかけに同社がセンターを見学したことが始まりでした。「センターの環境発電を利用したデモ機を見たとき,これだ!と思いました。」(田山氏)

  「センターでは,微小かつ非定常な電力を蓄電する技術に加え,マイコンを利用したIoT技術を保有していました。これらは当社の振動発電との親和性が高かったため,数回の実験を経て,モーターの振動で発電しながらモーターの温度・振動を見守るシステムを共同開発することができました。加えて,センターの施設機器開放技術改善支援により,微小振動でも発電効率が下がらない振動発電デバイスを設計することができました。」(田山氏,小野寺氏)

  同社はこの開発を経て磁歪クラッド鋼を開発し,さらにこれを活用した振動アクチュエータデバイスの分野を切り開きました。

  また,田山氏は宮城県が主催した各種の組込み研修も受講され,業務に活用しているとのことです。

センターに期待すること

  「工場内設備の見える化に取り組んでおり,プロトタイプ作製の部分でお手伝いいただいている。今後幅広く展開して行きたいので,よろしくお願いします。」(田山氏)

  「センターは私たちの方向性に寄り添った支援をしてくれる。今後も期待します。」(江幡氏)

会社概要

所在地〒989-1393   柴田郡村田町大字村田字西ケ丘23
電話,FAX電話  0224-82-1010,FAX  0224-82-1020
ウェブサイトhttp://www.tohokusteel.com/
代表者代表取締役社長  成瀬 真司
創業1937年4月20日
従業員数577名(連結) 380名(単体)
資本金8億2,750万円
主な事業各種特殊鋼鋼材の製造,加工及び販売