感性分析をつかってブランドを強くする~株式会社佐々直

更新日: 2022年10月18日
 

大正5年に創業した株式会社佐々直は,仙台名産の笹かまぼこをはじめ,揚蒲鉾やおとうふかまぼこなど,様々な魚肉練り製品を製造・販売する企業です。

今回,常務取締役の佐々木悠輔氏に,同社の特徴や,宮城県産業技術総合センター(以下「センター」)の支援メニューを活用して取り組んだ「感性分析による新商品開発」についてお話を伺いました。

※ 感性分析:ある商品やサービスなどから受ける印象(感性)を調査して可視化し,商品開発や市場調査に活用する手法。

お客さんが期待する「笹かまぼこ」の味

「昔(明治~大正頃)は閖上港で大量に水揚げされて余っていたキチジやカレイ,ヒラメなどの魚を“手のひら蒲鉾”にして売っていました。当時は魚を焼くための炉で焼いていたようです。」(佐々木氏。以下同じ)

流通が発展した現代,様々な魚が食卓に上るようになりました。しかし,今でも同社では,地元の海で捕れて地元の人たちに食べられてきた魚種にこだわり,かまぼこの材料として使い続けているとのことです。

「添加物をおさえて作った私たちの笹かまぼこは“ザ・笹かま”な味がします。お客さんが期待する通りの笹かまぼこの味です。(思った通りのいつもの味という意味で)特徴がないことが自社の特徴かもしれませんね(笑)。笹かまぼこに馴染みがない西日本の方々は“うまい!”と驚いてくれます。」

感性分析を活用した新商品開発

佐々木氏は,創業100周年をきっかけに,長年愛されてきた定番商品のリニューアルとリブランディングに着手します。

「センターで開催している研修のひとつ(感性分析の手法を学ぶ研修)を,専務,EC担当,私の3人が受講しました。感性分析手法を学んだことで,“なぜこのデザイン(商品)がよいのか?”がはっきりと説明できるようになり,開発グループのメンバーやデザイナーに的確に指示できるようになりました。」

感性分析を活用して競合製品や既存の自社製品を分析し,リニューアルの方向性を決めていきました。味にもこだわり,佐々木酒造店が地元の水とひとめぼれを使って作った“佐々直のかまぼこ専用日本酒”を配合し,深みを出す工夫をしたとのことです。

パッケージや味をリニューアルした定番商品「上撰 笹蒲鉾」。

「感性分析を用い,味やパッケージ,ロゴのイメージがぴったりと合うようにデザインしています。大学生の女性書道家に書いてもらった柔らかな印象の書体も特徴です。」

感性分析を活用することで,商品を構成するそれぞれの要素(味・ロゴ・パッケージ・書体など)のイメージを合わせ,魅力的で訴求力の高いブランドをつくることができました。

感性分析に用いる「イメージの9分類」を示す図表。株式会社 デザインインテグレート代表の宮内氏が開発した。

定番商品と同時期にリニューアルした揚蒲鉾のパッケージには,宮城らしい七夕,こけし,だるまの模様があしらわれ,こちらも人気商品だそうです。

宮城らしい模様をあしらった揚蒲鉾。

センターに期待すること

「(センターの良さは)使ってみないとわからないなと思います。現場の人が2~3日席を空けるのは本当に大変。だからこそセンターの良さをもっと伝えてほしい。」

研修を受ける前はセンターで何をどのように支援してくれるのか分からず,半信半疑な思いもあったと話してくれました。

「センターと各地域の商工会で連携してもらうと,必要な人にきちんと情報が届くかもしれませんね。自分たちの業務にヒモづくような情報はありがたいです。」

前職で外食産業の流通などの業務に携わってきた佐々木氏は,その経験を活かして航空会社の機内食や大手弁当チェーンの仕事などにも挑戦してきたそうです。そこで培われた深い知見と広い視野は,自社だけでなく宮城の食産業全体の発展をも見据えているようでした。

感性分析を活用してリニューアルしたロゴマーク(写真手前)。

会社概要

所在地〒981-1103 宮城県仙台市太白区中田町字清水15-1
電話022-241-2324
ウェブサイトhttps://sasanao.co.jp/
役員代表取締役社長 佐々木直哉
専務取締役 佐々木市哉
常務取締役 佐々木悠輔
取締役 佐々木陽子
主な事業魚肉練製品(かまぼこ)の製造・販売