地域の価値の再発見と連携による最適な産業の創造 〜有限会社伊豆沼農産〜

更新日: 2021年8月27日
 

 「農業を食業に変える」を基本コンセプトに,養豚や水稲・ブルーベリーの栽培から,SUFFAドイツ国際食肉加工品コンテストで金賞を受賞したハム・ソーセージなどの食肉加工,自社工場で生産された製品や地域産品を販売する直売所やレストランなど,地域の「人」「もの」「環境」の価値を再認識し,新しい「農村産業」を造り続けている有限会社伊豆沼農産。

 産学官の連携にも注力され,かつて宮城県産業技術総合センター(以下「センター」)の外部評価委員も務めていただいた伊藤代表取締役にセンターの活用方法を伺いました。

地域を大切にする想いと理想から始まった連携

 「今から25〜6年前,創業から2〜3年の食品製造業の在り方を模索していた頃に,産学官連携などでセンターを利用しており,当時はデザインや商品開発の支援を受けていました。しばらくして,当時ドイツ製の乳酸菌を使って作っていた生サラミを地元由来の乳酸菌で作れないかと考えていたとき,(平成22年に)センターの職員が当社を訪問する機会があり,連携が始まりました」(伊藤氏)

「ハム・ソーセージの究極は生」と語る伊藤氏。そんな伊藤氏が作る生サラミにぴったりな乳酸菌の採取・分離をセンターが支援しました。

食品加工に適した乳酸菌の発見

伊豆沼乳酸菌発酵生サラミ(右),「はす肌」化粧品・クリーム(中央),乳酸発酵あまざけ「初恋さくら」(左)
伊豆沼乳酸菌発酵生サラミ(右),「はす肌」化粧品・クリーム(中央),乳酸発酵あまざけ「初恋さくら」(左)

 「伊豆沼周辺の色々なところから採取した68検体の中から,たまたま見つかりました」(伊藤氏)。豊かな自然が育んだ伊豆沼生まれ・伊豆沼育ちの乳酸菌は『伊豆沼めぐみ乳酸菌(登録商標)』と命名され,生サラミのほか,伊藤氏が学校評議委員を務めている登米総合産業高等学校とのコラボ商品の乳酸発酵あまざけ,水質改善のために伊豆沼で間引いたハスの花のエキスを使った化粧品の原料にも利用されています。

センターに期待することとこれからの展開

 「センターは予想以上にやってくれています。他企業ももっと使った方がよい。もったいない」「そのために,センターも気軽に使ってもらえるよう,成果を広く伝えることが必要です」(伊藤氏)

乳酸菌に加え,伊豆沼の水から採取した『伊豆沼めぐみ酵母(登録商標,製法特許申請中)』でどぶろくやパンを作るなど有限会社伊豆沼農産は「発酵」で地元に最適な産業を創造し続けています。

会社概要

所在地郵便番号989-4601   宮城県登米市迫町新田字前沼149-7
ウェブサイトhttp://www.izunuma.co.jp/
電話,FAX電話 0220-28-2986,FAX 0220-28-2987
代表取締役伊藤秀雄
創業昭和63年10月
従業員数40人(パート含む)
資本金3,000万円
主な事業農業(養豚・水稲・果樹)/食肉製品加工業/食肉販売業/食肉処理業/菓子製造業/そうざい製造業/魚肉ねり製品製造業/飲食店営業/農産物直売所/他