三次元設計およびRP・RT技術を活用した商品化支援研究

更新日: 2021年9月2日
 

<研究事業名> デザイン開発支援事業

<研究テーマ> 三次元設計およびRP・RT技術を活用した商品化支援研究

<担当者名> 伊藤克利,川村憲明,小松迅人,伊藤利憲,渡辺洋一

<目的>
 商品のライフサイクルの短縮化や多品種少量生産が拡大する中で,県内中小企業においても,市場ニーズに対応した迅速な商品づくりが大きな課題となっている。本研究においては商品開発における効率化,迅速化を目的とした商品化支援システムの構築を図った。

<内容および結果>

(1)三次元CAD設計から金型製作までの実証検証

○内容 商品開発期間短縮のための三次元設計フローの確立及び検証
○結果
 昨年度末で設計データ作成までのフローをマルチプルエンジニアリングという概念のもと概ね構築したが,今年度はCAD,CAM間の作業時間短縮化パラメータ及び設計データの信頼性の実証・検証を行い精度向上を行った。また,当センターの三次元CAD関連機器の迅速活用ができるようにデザインルールの策定を行い,技術移転,技術改善支援やIT融合化研修など実践に随時応用活用している。今後は技術移転,技術改善支援やIT融合化研修などで随時課題を抽出し,中小企業のリアルニーズに対応したデザインルールの拡張を随時行って行く予定である。

(2)紙積層造形装置による低コスト,小ロット生産用の型制作技術の開発

○内容 紙積層造形モデルにある真空成形用型の制作技術の確立
○結果
 真空成型機は熱を利用し,紙積層造形モデルは熱が弱点である。紙積層造形モデルの強度向上,精度向上が課題となる中,熱対策をモデル形状と表面処理の両面から検討し,成型実験を重ねた。放熱性を向上させる形状については昨年度までの実験でほぼ確立していたため,今年度は表面処理を中心に検討を重ね,鉄粉配合室温硬化型液状エポキシを採用し,成型実験を行い,成型1サイクルが60(s)での連続成型実験に成功した。さらにモデル表面精度を向上させることによって,意匠性と離型性の向上が考えられるが,時間比例的作業であることから今回は確認を見送った。より高い表面精度が求められる場合には,検討すべき点である。

(3)金型の高能率加工に関する研究

○内容 焼き入れ鋼の高速切削加工条件を確立する。寸法精度向上のための加工条件(切り込み量,送り速度)を切削動力の測定と工具変形量の解析により決定する。
○結果
高速NCフライス盤により焼き入れ鋼(SKD11)をΦ2.0mmのボールエンドミルで直接切削加工し,加工条件(切り込み量,送り速度)と切削動力との相関関係を調査した。また切削動力値からFEMにより工具の変形量を予測し,加工条件と工具の変形量との相関関係を求めた。
切削動力は動力計(KISTLER製 3成分動力計 9257B)を用いて測定を行い,切削条件として切り込み量を軸方向で0.1〜0.3mm,径方向で0.1〜0.5mm,送り速度を1000〜5000mm/min.と変化させた場合のX,Y,Z方向の動力値を測定した。次に,切削動力値の測定結果を用いてFEMにより工具の変形量を予測した。FEM解析にはANSYSを使用し,切削条件と工具変形量の相関関係を求めることができた。
これらの結果をデータベース化し加工条件から工具変形量の予測を行い,ツールパスを変更することで寸法精度向上を図ることが可能と思われる。