工業洗浄における洗浄度の評価技術に関する研究

更新日: 2022年3月4日
 

<研究事業名> 環境・エネルギー技術開発事業

<研究テーマ> 工業洗浄における洗浄度の評価技術に関する研究

<担当者名> 宮本達也,伊藤伸広,中塚朝夫

<目的> 洗浄工程の現場で利用可能であり,要求洗浄度の高度化に応じた,簡便かつ定量可能な洗浄評価方法の確立

<内容及び結果>

1.簡易洗浄評価方法の確立
 洗浄された製品の水の接触角を,汚れの残存付着量に換算可能な洗浄度評価法を確立した(図1)。図1には汚れのモデル物質として利用した飽和炭化水素(トリアコンタン,C30H62)と代表的なプレス工作油のひとつであるPG-3080における残存汚染量と水の接触角の関係を示した。これにより,精密洗浄レベルの簡易な定量評価が可能になった。

図1:洗浄後の残存汚染量と水の接触角の関係を示すグラフ

2.洗浄のリアルタイム評価法の開発
水晶振動子マイクロバランスを水系洗浄に応用した,洗浄過程のリアルタイム評価法を開発した。この評価法は,洗浄のプロセス設計上極めて重要な洗浄の速度論的な解析を可能とした。

3.紫外領域蛍光顕微鏡の開発
 汚れを高感度で観察可能な紫外領域蛍光顕微鏡を開発した。その観察例を図2に示した。これまで観察できなかった少量の残存汚れ等でも紫外領域蛍光顕微鏡により観察が可能になった。

図2:紫外蛍光顕微鏡による写真(左:可視領域のCCD像,右:紫外領域蛍光顕微鏡像,試料:PCB(KC-400)