DNAマイクロアレイ手法による次世代酵母の開発

更新日: 2021年9月2日
 

<研究事業名> バイオ・食品加工技術開発事業

<研究テーマ> DNAマイクロアレイ手法による次世代酵母の開発

<担当者> 小山誠司,橋本建哉

<目的> 清酒製造用酵母を開発する。

<内容および結果>

1. 概要
 当センターが平成12年度に開発した純米酒用酵母(宮城マイ酵母)は,県内各酒造場により広く用いられているが,製造性の向上などを目的として泡なし株への要望がある。そこで本研究では同酵母の自然変異株より泡なし変異株を取得し,諸性質の検討を行った。

2. 実験方法及び結果

2.1 実験方法
 清酒酵母MY-3102株(宮城マイ酵母)を親株として,酵母の気泡吸着性を利用する方法で自然変異株の取得を行った1)。気泡吸着操作を12回繰り返した後,最後の培養液を平板培養し,生じたコロニーを任意に60個分離した。これらを難波らの方法に準じた留8℃,最高品温13℃とした総米200gの小仕込試験を実施し,泡立ち性および一般成分を試験した。一般成分については,日本酒度,アルコール,総酸,アミノ酸について行った。

表 小仕込試験の仕込配合
 
水麹
合計
総米(g)
10
25
65
100
200
麹米(g)
10
 
10
20
40
掛米(g)
0
25
55
80
160
汲水(ml)
55
0
75
130
260

2.2 結果
 変異株60株のうち,57株はもろみにおける泡立ち性を欠いた泡なし変異株であることが確認された。一般成分分析の結果についても,これら57株は親株とほぼ同等の成分であり,香りについても親株の特徴を有していた。発酵経過は,炭酸ガス発生による重量減によりモニタリングしたが,泡なし変異株は発酵初期において親株より旺盛な発酵を示し,18.8〜19.0%までそろって順調な経過であった。
 今後,今回得られた57株について醸造適性の検討をさらに進め,実用株取得を目指していく予定である。

文献
 1)Ouchi K.and Akiyama H.:Agr. Biol. Chem.35,1024(1971)