R7年度「第3回宮城AM研究会」開催報告

更新日: 2026年3月12日
 

2026年2月20日(金)、東北大学 金属材料研究所2号館 1階 講堂において「令和7年度 第3回宮城AM研究会」を開催いたしました。

今年度を締めくくる第3回目は、AM(アディティブ・マニュファクチャリング)における最新の材料技術から、トポロジー最適化の実践的な活用事例まで、非常に濃密な内容となりました。

講演(1)「AMのトレンド技術」【講師】東北大学未来科学技術共同研究センター 千葉 晶彦 特任教授

千葉先生からは、ご自身の長年の研究成果や論文を引用しながら、AM技術の最新トレンドについて解説をいただきました。

特に注目されたのは、金属粉末(材料)の表面にある「酸化膜」が造形品質に与える影響についてです。酸化物が発生することでボイド(空隙)の原因となる可能性が指摘され、高品質な造形を実現するためには、PREP粉末(プラズマ回転電極法)などの酸化膜が極めて少ない材料を選択することの重要性が説かれました。

講演(2)「トポロジー最適化の基礎と活用事例」【講師】アルテアエンジニアリング株式会社 松本 秀一氏

続いて、アルテアエンジニアリング株式会社の松本氏より、「トポロジー最適化」の基礎と活用事例についてご講演いただきました。

一見難解に思えるトポロジー最適化の基礎理論を、図解や数式を用いて非常に分かりやすく噛み砕いて解説いただきました。また、具体的な応用事例の紹介を通じ、トポロジー最適化の可能性を改めて認識する機会となりました。

講演(3)「自律走行ロボットcocomoの金属AMを用いた軽量化への取り組みについて」
【講師】トヨタ自動車東日本株式会社 瀧脇 光太郎 氏 / 宮城県産業技術総合センター 篠塚 慶介

後半は、企業と当センターが連携して取り組んだ、実践的なケーススタディの発表を行いました。

トヨタ自動車東日本株式会社(講演者:瀧脇氏)による取り組み紹介

トヨタ自動車東日本株式会社で開発した自律走行ロボット「cocomo(ココモ)」のサスペンションアームを対象に、トポロジー最適化を用いた軽量化プロジェクトの成果が報告されました。講演では、最適化設計において「想定外の方向からかかる力」への強度が不足するリスクが指摘され、適切な条件設定を行う重要性が語られました。あわせて、金属AMの特性を正しく理解した上で設計に取り組むことの必要性についても、実例を交えて示されました。
本部品は、日本積層造形株式会社でAM造形を行い、株式会社岩沼精工による後加工が施された後、当センターにて精度評価や引張試験が実施されました。今後は、他のパーツについても同様の再設計に取り組んでいくという展望も語られ、実践的な開発プロセスの共有が行われました。

瀧脇氏によるプレゼンテーション。会場からはたくさんの質問が上がる。

宮城県産業技術総合センター(講演者:篠塚)による解析手法の比較

当センターの篠塚からは、設計ソフトウェア「nTop」を用いた別アプローチの結果を報告しました。

瀧脇氏と同一の条件で最適化を実施したところ、得られた形状の傾向は非常に似通ったものとなり、設計の妥当性を客観的に裏付けることができました。nTopはノーコードツールを使った設計ワークフローを組めるため、様々な条件での検証をスムーズに行えます。また、CAEの専門家でなくとも直感的に操作でき、工業デザイナーや設計エンジニアが初期設計の段階で活用できるツールであることも紹介されました。

トポロジー最適化した部品を静解析し、検証する様子。

会場には、実際に自律走行ロボット「cocomo」が登場しました。参加者は実機を囲みながら、cocomoの具体的な機能や設計についてディスカッションを繰り広げました。実際のプロダクトを目の前にすることで、AM技術の社会実装が着実に進んでいることを実感できる場となりました。

会場に登場した「cocomo」を囲んで議論する様子。

本研究会をもって、令和7年度の宮城AM研究会は全日程を終了いたしました。今年度も多くの会員の皆様にご参加いただき、活発な情報交換が行われたことを厚く御礼申し上げます。

次年度も、皆様のビジネスや研究に役立つ、刺激的で興味深いテーマを企画してまいります。会員登録がまだの方は、ぜひこの機会にご登録いただき、次回の研究会へ足をお運びください。

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